長年エンジニアやアジャイルコミュニティに関わってきた経験から、新しい職種が社会に定着するプロセスには共通のパターンが存在すると感じています。
これは単なる偶然ではなく、成熟へと向かう螺旋構造のような成長サイクルであり、その過程は5つの段階に分けられます。
このフレームワークを理解することで、コミュニティの発展を加速させ、未来を予測する手助けとなるでしょう。
POINT 01
新しい職種・コミュニティ成長の5つのステップ
新しい職種や技術コミュニティは、以下の5段階を経て社会に定着し、成熟していきます。
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ステップ1: 誕生
職種の必要性が認識され、企業がジョブディスクリプションを作成し、求人募集を開始する段階です。
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ステップ2: 拡大
小規模な勉強会から始まり、コミュニティが形成され、やがて大規模な年次カンファレンスへと発展します。
- 03
ステップ3: 規範化
職種の定義を巡る「○○警察」が出現し、内部での規範争いや商標問題が発生するなど、成熟期の課題に直面します。
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ステップ4: 定義
職種の決定版となる教科書的な書籍が複数出版され、体系的な学びの基盤が確立される段階です。
- 05
ステップ5: 多様化
コミュニティが全国に波及し、地域別や専門分野別に細分化された多様なコミュニティが生まれます。
POINT 02
各職種の現在地と今後の予測
現在、様々な職種がこの5つのステップのどこに位置しているかを見てみましょう。
| 職種 | 現在のステップ | 今後の予測 |
|---|---|---|
| AIオペレーションマネージャー | ステップ1-2 | コミュニティ形成、警察の出現 |
| PMM (プロダクトマーケティングマネージャー) | ステップ1-2 | カンファレンス化、警察の出現 |
| EM (エンジニアリングマネージャー) | ステップ3-4 | 教科書出版、多様化へ移行 |
| PM (プロダクトマネージャー) | ステップ4-5 | 全国波及、コミュニティの多様化 |
| アジャイル/AWSコミュニティ | ステップ5 | 成熟、さらなる細分化と地域展開 |
POINT 03
ステップ3「○○警察」の出現とその意味
コミュニティの成長過程で避けられないのが、職種の定義を巡る議論や対立です。これは「○○警察」と呼ばれる現象として現れます。
この段階では、「本物の○○とは何か」といった規範的な議論が活発化し、時に内部での派閥争いや商標問題に発展することもあります。例えば、スクラムマスターの定義を巡る論争や、アジャイルコーチの商標問題などが過去に発生しました。
一見するとネガティブな側面に見えますが、これは職種が社会に浸透し、その定義が真剣に議論されるようになった証拠でもあります。この議論を通じて、職種の輪郭がより明確になり、次のステップである「教科書」の誕生へと繋がります。
POINT 04
コミュニティ成長サイクルを理解する意義
この5つのステップを理解することは、コミュニティの発展を予測し、効果的に関わる上で非常に重要です。
次に何が起こるかを事前に把握することで、コミュニティ形成における不安を軽減し、成長を妨げることなく加速させることが可能になります。例えば、ステップ3の「警察」の出現は、成熟の兆候として捉え、適切な対応を準備できます。
新しい職種を広げたいと考える個人や組織は、自分がどのステップにいるかを認識し、次のステップへ進むために何が必要かを戦略的に考えることができます。教科書の執筆やコミュニティの立ち上げなど、具体的な行動に繋がりやすくなるでしょう。
TAKEAWAY
コミュニティの成長は予測可能なパターンを持ち、このサイクルを理解することで、その発展を加速させ、より効果的な関与が可能になります。
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